急行はまなす・カーペットカー乗車記
時刻は深夜1時、列車はED79 4に牽引されて青森から到着。好きだったED75の面影を残すこの機関車、海峡号が引退する前にも撮影に来ましたが、その頃はドラえもんペイントのものばっかり。正装に戻った今、あらためて撮影し直したいと思っているのですが、深夜早朝しか見れない機関車になってしまっています。
すぐに機関車は切り離し。現在、函館駅で機回しが出来るのはここ8番線だけ、いつからなんでしょう。
札幌方に行って見ると既にDD51が連結されています。いつ見てもカッコいいなぁ。
牽引するのはDD51 1142。単機なのに重連札がついているのは何故?、私はこれを「重連総括運転していますよ」を表しているものと今までずっと思っていたのですが間違いでして、本当は「重連総括運転できますよ」を表す札。北海道のDD51には昔は「重」の他にも「半」(半重連型=重連総括運転が出来るがブレーキは本務機しかかからない)や「非」(非重連型=重連総括運転できない)の札もあったそうでして(知らなかったなぁ~)、現在は函館にいるものはすべて「重」タイプなので区別する必要は無くなってしまっているようなのですが、国鉄時代の名残がここにも一つあるという事なんでしょう。
乗車するのはこの車両でカーペットカー、あけぼの号シングルデラックスもそうでしたが、こちらも最後の残り1席が確保できたのです。もちろん乗るのは初めて。
最後の1席でしたので、個室風になる人気の上段ではなく下段、しかも荷物置き場の無い3列単位の区画の真ん中という一番残念な席でしたが、僅か300円の指定席料金で横になって寝れるわけですし、毛布と枕まであるという、あり得ないくらいの大サービスにはありがたいとしか言いようがありません。これを逃してしまったら座席で寝るか、それが嫌なら僅か4時間半の乗車に寝台券を払わなくてはならないのです。
途中駅からの乗車ですので、みなさん既に寝ていらっしゃいます。私もすぐに横になって毛布をかぶって寝る事に。出発しますとほとんど車両の床に寝ている事、また私の席は車両の端に近い事からか、ポイントやジョイント通過時の振動が直に体に伝わってくる感じです。なんとなくカーブで台車が回転しているのも解るような感じもして、なかなか面白いなと思っていたのですが、5分で眠りについてしまったようでその後の記憶は無し。
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車内放送で目を覚まします。もう札幌到着直前です。みなさんムクムクと起き上ってきます。ここでびっくりしたのは外国人旅行者がとても多いのです。カーペットカーの乗客の3分の1がそうでして、でかい人だなぁと思っていた私の隣もなんと若い白人女性。
これは一体どういう事か、もう間違いなくLonely Planet(=主にバックパッカー向けの英語の旅行ガイドブック)の日本編にこの列車が紹介されているとしか言いようがないでしょう。「お金をかけない北海道へのアクセスは急行はまなすが最高!、その中でもカーペットカーは指定席料金で横になれて毛布まで付いている。日程が決ったら急いで指定券をゲットせよ!」、おそらくこんな風に書かれているのではないでしょうか。そういえば昨夜函館駅では指定席のドリームカーにも外国人が何組も乗車しているのを見ました。
せっかくの外国人による日本の鉄道旅行、JAPAN RAIL PASSを使って昼間走る特急列車に乗ればいいのにと思うのですが、彼らは1が月以上にも及ぶ長期旅行なのでしょうか。私としては現時点で世界最長の青函トンネルを座ってじっくり体験し、函館では途中下車して夜景やイカそうめんでも味わってもらい、それから昼間の特急列車で札幌方面へ向かう行程にして、大沼小沼や雄大な駒ケ岳を見て本州とは明らかに違う風景に北海道に来た事を実感してもらいたい。この区間を夜行列車で素通りしてしまうのは、とても勿体ない事だと思うのです。
駅では少し写真を撮って改札を出ます。20年以上前の地上駅時代の札幌駅には、釧路・網走・稚内からも到着する夜行列車にあわせて、早朝からモーニングサービスを出してくれる喫茶店がありました。ゆで卵トーストセット、サンドイッチセット、朝がゆセットの3種類で値段はすべて300円だったと記憶しています(今日はどれ食べようかなぁ~と度々考えていたのです)。現在、駅で一番早く開く飲食店はミスタードーナツさんみたいでここで朝食。札幌の地下鉄もほとんどが未乗なのですが、乗りつぶしはまた今度にする事にして、とりあえず何処かでシャワーでも浴びようと街に出る事にします。小雨が降る中、駅を出るとすぐにシャワーのあるネットカフェを見つける事が出来ました。
(乗車は2013年6月)
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