神戸電鉄乗車記4(粟生線)
鈴蘭台駅で途中下車しての撮影も終了し、神戸電鉄の乗りつぶしを続けます。まずは粟生線から。3000系の鈴蘭台8:38発の普通粟生行きに乗車、座席の60~70%ぐらいが埋まる程度でかぶりつきには最適の乗車率です。
出発してすぐに50パーミル勾配、まだ登り坂が続きます。短いトンネルを抜けると次の鈴蘭台西口駅なのですが、新開地側のホーム末端部は線路勾配に合わせてバーチカルカーブを描いているぞ。すごいなこれは。もう完全に山岳鉄道の雰囲気だ。ここから下り坂になります。とにかく面白いのでカメラを取り出して撮影することにします。
西鈴蘭台出て複線に、再び山の中に分け入って行きます。
藍那駅を出るとまた単線になり私の大好きな木製架線柱がこの辺で登場、そして信号所が現れてまた複線になりスピードを上げます…(この辺うろ覚えです)。木津駅を出ると六甲山地から抜け出したようで住宅地が見えてきます。雨が激しくなってきました。雲も厚くなり、気分はなんだか太平洋側から日本海側へ抜けたような感じです。
押部谷駅は3線の面白い配線。朝夕にここを始発・終着とする列車が3本ずつ存在します。ここからまた単線。
そして写真取り損ねましたが緑が丘駅に到着します。そうだ!この駅に間違いない。実は私、初乗車という形で神戸電鉄に乗りにやって来ましたが、1995年の夏、粟生線に乗ってここまで来た事があるのです。阪神淡路大震災の後でして、兵庫区に住んでいて家を失い、緑が丘駅近くの仮説住宅に住む遠い親戚を見舞いで来ました。この時は何と言っても三宮・神戸近辺の数々の崩壊したビルの惨状を見たばかりだったので、乗車した時の事は記憶から飛んでしまい、どこでどう乗り換えてこの駅にたどり着いたのか全然覚えていません。確か電車は満員でずっと立ちっぱなしでした。行ってみて救いだったのは、高齢の方だったのですが、仮設住宅での生活は、助け合う友人が沢山出来て、ホント楽しいわぁ~と言ってた事です。
直線区間を快適に走って志染に到着。折り返し駅らしい2面3線の駅です。どうでもよいことですが、部外者には「しじみ」とは絶対に読めない。ここからは2012年5月に、日中1時間当たり4本から一気に1本に減便され話題になった区間になります。かぶりつきに夢中になってましたが、後ろを振り返るともうガラガラ、席がこれだけ空いているのに一人運転席の後ろに立って前方を見ている怪しいおっさんになってしまっています。4両編成の電車を走らせるなんて勿体無い、軽快気動車1両で充分という状態です。
こういった路線の存続問題について一つ言えるのは、道路は国や県が管理・整備してくれますが、線路は補助金がなければ鉄道会社が自費でやらなくてはならない事。どう考えたって不利。道路事情も良くなり、車社会となってしまった地方では、もう鉄道は完全に時代遅れなんだろうなぁ。ファンとしてはいつまでも走り続けて貰いたい所ですが、少子高齢化も進み税収も少なくなるというのに補助金をいつまでも投入し続けるのも問題でしょう。5年後、10年後、このような問題を抱える路線は、日本中あちこちで出てくる事が予想されます。
志染を出ると、50パーミルの連続下り勾配。このあたりからカーブでは架線柱のピッチが細かくなり、樫山を過ぎたあたりからは木製架線柱の傾きも大きくなるようで、進むにつれてどんどん地方鉄道らしい雰囲気になってきます。また、天気も回復して来ました。
葉多駅、そろそろ終点です。なかなか楽しいかった。そしてこの2枚窓の車両というのは、視界が広くてかぶりつきに最適。そしてこの狭い運転室、ずらり並んだスイッチ類が昭和の電車を感じさせます。何年製だろう?、すぐ上の製造プレートを見ると「平成元年・川崎重工」だった。
加古川を鉄橋で渡り終点粟生手前の右90度カーブに差掛ります。ここを昨年の秋、JR加古川線から見て、枕木は木製だし、バラストは真っ茶色で全然交換して無さそうだし、架線柱は木製で傾いている、この草臥れ加減、本当に準大手私鉄なのか!…と、ちょっと感動してしまい、今回ここに来たのです。(後で知るのですが神戸電鉄は2005年に中小私鉄に格下げされている)
到着します。右側のいかにも簡単に作られた感じの新しいホーム側から乗降します。
新しいホームは屋根は1両分しかなく実に簡素。真ん中に架線柱も立っている。
加古川線下りホームから見る。昔のホームはディーゼルカー時代の高さだ。粟生線の4両化によって新設ホームが誕生しのかと思っていましたが、スルッとKANSAI導入による改札分離のためなんだそうだ。
出発するのをお見送り。電車が左にカーブして見えなくなると、すぐに鉄橋を渡る音が聞こえます。なんかドラマチックな駅だ。大切な人とのお別れの時は感傷的になって涙が止まらない事でしょう。(そんな状況は滅多にないんでしょうけど…)
(乗車は2014年9月)
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