東武小泉線乗車記


館林駅4番線の切欠きホームから乗車するのは9:34発の西小泉行き。8000系の2両編成です。乗客数は2両で20名ぐらい。

この日の天気は雨、関東では桜が咲いたというのに2月並の寒さという荒れた日でして、運転席後ろでかぶりつきをしますが、ガラスが雨に濡れてよく見えません。出発すると右から佐野線、伊勢崎線、小泉線と3本の単線が並ぶ区間を走ります。昭和の車両が並ぶ車両基地が前方に見えると左へカーブし、伊勢崎線と別れます。


次の成島で、同じく8000系2連の電車と交換。構内がやたら広く、昔は貨物の取り扱いがあった駅なのでしょう。ここからも単線ですが、3線ぐらい線路が敷けそうな広い用地を走ります。昔は沿線に軍事関係の工場がたくさんあり、貨物輸送が盛んだったという東武小泉線。ここにも貨物ヤードか信号所でも存在していたみたいです。
立派な築堤を走って2面2線の本中野。昼間は1時間に1本しか電車が来ませんが、しっかりした屋根と跨線橋は都内の私鉄の駅と変わりなく、さすがは東武です。次の篠塚は棒線駅ですが、ここも昔は貨物を取り扱っていた駅みたいです。

太田方面と西小泉方面が分岐する東小泉に入ります。ここも構内が広いです。田んぼの中の接続駅を予想していましたが、左に見える駅前広場はとても大きくて立派です。

この列車は接続する列車なしで出発。ここが太田方面(右)と西小泉方面(左)の分岐箇所です。


分岐したと思ったら小泉町に到着。ただの棒線駅かと思いきや、出発すると西小泉側に、線路は剥がされていますが、架線と架線柱が残っているシュールな光景があります(右写真)。帰ってWikiを覗いてみれば、かつてはここが小泉線の終着駅だったんだそうだ。

複線の用地が確保されてたみたいな区間を左に左にカーブして、終点の西小泉駅が見えてきました。


西小泉には9:52に到着。小泉線の本線に相当する?12kmの乗りつぶしが完了です。最後まで乗り通した乗客は10名ぐらい。

この電車は、あまり使われないような2番線に到着します。次の電車が到着する間に、出発する電車がないので、夕方ぐらいまでここでお昼寝するのかと予想していましたが、しばらくしたら回送されたようで、いなくなってました。

北側には使われなくなったホームと線路。どんな使われ方をしていたのでしょうか。

改札の外に出てみます。無人駅かと思ってましたが、ちゃんと駅員さんがいます。写真は改札外から撮影した、使用しなくなった線路とホーム。

そしてその反対側の光景。1976年に廃止となった仙石河岸線へと通ずる側のヤードの敷地も線路が剥がされたままで残っています。
さて、この東武小泉線、多くの駅で貨物の取扱い跡が残り、戦時中は軍事輸送が目的だったりして、私の慣れ親しんだ東京の青梅線立川側と共通点が多いようで、歴史に興味がわくのですが、Wikipediaには貨物列車の廃止が1996年とあるだけで、最後の貨物取扱い駅は小泉線のどこだったのか、どんな荷を扱っていたのかが、検索をかけてもどこも引っかからず、すっきりしません。


そして終着駅西小泉の駅前風景。ここは日系ブラジル人の町として有名ですが、ホームで長居して改札を出たので、日系ブラジル人も日本人も、誰一人歩いていません。駅前の昔の商店が、自転車預かり所と形を変えて営業しています。

仙石河岸駅方面に歩いてみますと、すぐに渋滞している幹線道路にぶつかります。写真に車は写っていませんが、大型トラックもガンガン走っていて、人や貨物の流れは今はこっちと、見せつけられてるようです。写真の左に見える遊歩道が仙石河岸線の廃線跡で、左には日系ブラジル人向けの運送会社?

駅西側に広がる公園、ここも昔は貨物のヤードだったんだと思います。駅に戻ります。

館林行きが来ました。今度は1番線に入ります。


西小泉は桜の駅。雨に濡れる満開の桜と共に5分間の撮影タイム。

電車は10:24に西小泉を出発し、10:27に東小泉に到着。今度は隣のホームに太田行きが待機しています。


左がこれから乗車する10:29東小泉始発で太田経由の赤城行き。右が乗車してきた西小泉発の館林行き。2本の8000系2連が並ぶ姿を撮りたかったのですが、時間がなくて無理。

またまたかぶりつき、東小泉の分岐です。盲腸線ではありませんが小泉線の支線にあたる太田方面へ進みます。駅間距離は長めで唯一の中間駅の竜舞に到着。ここは貨物を取扱っていた駅には見えませんが、交換できる列車の有効長が長く、長い貨物列車が走っていた名残みたいです。
そういえば小泉線では、ずっとかぶりつきをしていますが、東武の地方路線に見られる、細い鋼材を組んでクリーム色や薄緑色で塗った独特の架線柱が見られません。電化が1943年と他の東武の路線より遅かったのが関係するのでしょう。


単線の高架を駆け上がり10:38、3面6線の太田駅に到着。これで小泉線の支線6.4kmも乗車済み。どうでもいいことですが、今日は8572→8574→8576と一つ飛ばしで順序よく、3本の8000系2連を乗り継ぎました。

太田駅では見たかった電車同士が並びます。8000系中間車の先頭車化改造によって生まれた、前パンの8000系グループ、850系です。なかなか格好いいです。
(乗車は2019年4月)
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