鹿児島~加世田~枕崎をバスで移動
乗客は15名ぐらい、車内は涼しくて快適で、道中ほとんど眠りこけていたのですが、途中どんなルートを走っているんだろうと、グーグルマップを立ち上げてみますと、薩摩半島を横断する県道をスイスイ走っていました。こんな道があれば、鹿児島交通枕崎線なんて不要だよな。指宿枕崎線の枕崎より先も、同じかもしれません。なにせ鹿児島から枕崎まで1時間半で着いてしまいます。(指宿枕崎線だと2時間半)

11:00に加世田のバスターミナルに到着。外は暑い。乗車したのはこんなバス。
さて、ここ加世田のバスターミナルは、鹿児島交通枕崎線の加世田駅があった場所。鉄道存続時の加世田駅については、宮脇俊三さんのローカル私鉄を巡る著書に詳しく書かれていまして、ほとんどスクラップ状態の小型タンク式蒸気機関車が何台も放置されているという時間が止まったかのような情景を、一度見てみたいと思っていました。しかし現在は鉄道が廃止されて34年もの年月が経ちますので、駅の跡はきれいさっぱり整備され、どこに線路があって、どっちが伊集院で、どっちが枕崎かすらも解らなくなってしまっています。

昔鉄道があったことを示すのは、ロータリー中央に置かれた蒸気機関車と、

小型ディーゼル機関車。


他に見つけたのは鉄橋の切れ端。それとこの古い木造ベンチも鉄道駅時代からあるものかもしれません。
この鉄道については、本や雑誌の記事でしか知らないのですが、やはりこの鉄道を象徴する車両、国鉄キハ07と同型で、赤に紺色帯という暑苦しい塗装のキハ100形を残してほしかった。帰ってから知るのですが、実はバスの車庫の中にちゃんと保存されているとのこと。

屋外に掲示されている晩年の加世田駅の光景。この時に来てみたかったなぁ。しかし、加世田については、寂れた小さい町のイメージを勝手に抱いてしまっていましたが、バスの車窓から見た限り、実際は南さつま市の中心だけあって大きく、そんなに寂れてはいません。


バスターミナルの裏手には、古い石造りの倉庫を利用した南薩鉄道記念館というのがあるので、もちろん入ってみます。入場料は200円で、バスターミナルで入場券を購入すると、私が本日一番最初の入場者のようで、今鍵を開けますので、しばらくお待ちをとのこと。中は閉め切っていたのですごく暑い。ササっと見て出よう。展示物は鉄道が好きな人には貴重なものですが、200円払う一般の人にはガラクタにしか見えないかも。キハ100のと思われる座席に座ってみます。シートピッチ、窓割りと合ってない座席配置も正確に再現されているのでしょうか。シートピッチについてはもう少し実際は狭いんじゃないかなとも思ったりして。


輸入機関車と昭和26年の台風による被害。この鉄道も最後は豪雨のよる災害で一部区間が不通となったまま廃止されてしまったのですが、昔から大変だった事が伺えます。展示されている写真はどれもとても興味深いもので(特に当時の人々の服装なども)、もう少しゆっくり見てみたい気もしましたが、昼食もここで摂らなくてはならないのでそろそろ出ます。

それと、この鉄道とは関係ないですが、この昔の貴重な地図もゆっくり見てみたかった。


外に出たところで、バスターミナル、南薩鉄道記念館の周りには古い機械が多数置いてありまして、貴重な物だとは思うのですが、説明が全く無いので、何をする機械なのかさっぱり解らない。
さて昼食ですが、バスターミナルの周りに飲食店は見当たらず、暑いので歩いて探しまわる気力も無く、バスターミナルの裏手に裏口のあるショッピングセンターに入ってみます。涼しいです。中は家電、園芸用品、仏壇まで1フロアで売ってる広いショッピングセンターで、やっと食品売り場に辿り着くと、惣菜売り場にずらりと並ぶ弁当の数に、加世田の街の大きさを伺い知る事が出来ます。さぁ、どれを選ぼうかと思ったところですが、店内にイートインコーナーは無く、外にあるゴミ箱は、家庭のゴミを捨てるなと完全に塞がれていまして、弁当の容器を捨てる事が出来そうにない。という事で、この日の昼食は、ショッピングセンター入口にあった、たこ焼き屋さんで暑い中汗をかきながらたこ焼きを食べる事となりました。

次に乗るバスは、加世田バスターミナルを始発とします12:00発の枕崎行き。乗客は私の他に高校生ぐらいのスポーツ少年が一人だけ。バスは出発するとしばらく市街地を走った後、山を登って行きます。こんな坂はキハ100形は登れないはず、鉄道はどの辺に敷かれていたのでしょう。予習して来るべきでした。
峠には太陽光発電パネルに囲まれた道の駅270というのがあって、そこから下り坂。すると左手に線路跡を発見、朽ち果てたホーム屋根みたいのも見えます。カメラを用意です。

一番まともに撮れた線路の路盤に踏切の跡?
こんなところをキハ100形はノコノコ走っていたのか。その後、線路の跡は見失い二度と見れず。そして川幅が広くなり市街地に入って、スポーツ少年が下車して私一人になってしばらく、12:40、終点枕崎に到着です。線路はどこだ?


あった!子供の頃からいつかは行くぞと思っていた日本の鉄道の南端の終着駅・枕崎。50歳を過ぎてやっと到着出来ました。


左写真は鹿児島交通が存在していた時の枕崎駅があった場所で、現在はドラックストアになっています。そんな経緯から、指宿枕崎線はちょっと路線が短くなってしまっています。このような事例は数多くあるんだなぁと改めて実感。それと、駅の周りには観光客向けの飲食店がいくつもあって、加世田よりここで昼食をとるプランにすれば良かったかもしれません。
(乗車は2018年8月)
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