前回の続きです。

和歌山を出発し、きのくに線を進みます。この駅では何度か乗換したことがあるのですが、降りたことがありません。どんな駅なのでしょう。鉄道ファンとしては今も駅舎直結の1番線らしい1番線が残る大きい駅、利用者にとっては今も東西自由通路がなく不便な駅、といったところでしょうか。

海南を出て、右手に製油所と製鉄所を見た後、1回目のオーシャンビュー区間が始まります。天気が悪くて対岸が見えないのでオーシャン(大洋)みたいに見えますが、実際は和歌山湾で、天気が良ければ淡路島が見えてるはず。
それと線路が上下線で別れてます。帰って調べてみれば1967年に複線化された区間になります。私が海沿いを走る路線に乗る時は、海と対向線路(列車)の両方が見たいので、時計と反対周りに乗るのを原則としているのですが、このように後になって複線化した路線だと、私の乗る山側線路は、海側線路に比べてトンネル区間が長いことが多く、見れない海岸の景色(絶景であることが多し)があることに、ちょっとだけモヤモヤした気持ちになってしまいます。

くろしお22号とすれ違います。287系基本編成のみの6連です。287系にも3連の付属編成があるのですが、コロナの影響で長期間失業中でしょうか。くろしおは1時間間隔での運転なので30分に1回すれ違うのですが、次の24号はコロナで運休中。

2018年デビューの新型車、227系1000番台も来た。

御坊駅に到着します。紀州鉄道の姿はなし。スケジュールを組む時、パノラマグリーン車で白浜まで乗り通すか、ここで降りて寄り道するか、ずいぶん迷いました。
この辺りで雨が少し弱くなり、前面窓の水滴が少なくなり、見晴らしが効くようになるはずなのですが、そうでもない。前方に延びる線路が、良く見えないのです。

座席下を見て納得、この車両は、今まで乗車したパノラマグリーン車、JR東海キハ85系、JR西日本381系やくも、JR九州783系のように、ハイデッカー構造ではなかったのです。10㎝程度の段差が有る無いで、前面の見え方はずいぶん違うんだ。隣の1Aの乗客も降りたことですので、行儀が悪いですが、ここからは靴を脱いで、座席で正座、又は胡坐をかいて座面を高くし(セルフハイデッカー?)、視点を高くして前方を見ます。リクライニングの角度はもちろんゼロ。

またしても227系1000番台。
振り子車ですので、カーブでは車体を傾けて走ります。この283系は1996年デビューですので25年目、そろそろ引退の時期のようですが、後継車両はどんな車両でしょうか。287系に続いて振り子機能が搭載されないような雰囲気です。

そうだ、速度標識の写真でも撮っておこう。
R300 80km/h制限 283系は75km/h

R400 85km/h制限 283系は95km/h
10㎞/h程度しか変わらないのか…。速達性が重要な路線ではないので、振り子車はもう必要ないのかも。

R600 283系以外は100km/h制限
行け!突き抜けろ!

切目~岩代間の海が見える区間、今度こそ太平洋で、オーシャンビューです。

車内放送で海が見える案内があり、ほんの少しだけ速度を落として走ります。

ずいぶんと崖っぷちを走ります。海側線路だと波が砕けるのが見えそう。

最後に砂浜で、オーシャンビューは、これでおしまい。283系のくろしおが、オーシャンアローを名乗るのを止めたのは、白浜止まりが増えて、オーシャンが見える区間がほとんどなくなってしまったからかもしれません。

普通列車は2連の227系1000番台ばかり、約30分に1回すれ違います。

1B席からの景色はこんな感じ、よく見えない。

紀伊田辺に到着、くろしお26号と交換します。パンダくろしおで来ました。安全反射ベストを着用した職員の方が助手席に座り、展望がまた悪くなってしまいます。ここからは靴を履いてちゃんと座ることにします。

紀伊田辺からは単線です。普通列車が1時間に1本だったのが、昼間は3~4時間に1本となる区間です。JR西日本は、天王寺~新宮までを「きのくに線」を愛称を付けていますが、ここからは「紀勢本線」を名乗り続けてほしいところでもあります。
さて、この紀勢本線、小学生から時刻表オタクの私のイメージは、とても孤独な路線です。起点側からだと多気を出て参宮線と別れてから、御坊までの長い間、接続する路線が1本もありません。その距離は283.8㎞。今では赤字ローカル線を切り捨てたことで、石北本線新旭川から釧網本線東釧路まで、400.2㎞も接続路線がない区間が生まれましたが、こちら紀勢本線は、紀伊山地を貫く路線が無いことから、国鉄時代の開業時からこの状態です。
鉄道旅行の車窓で私が一番の楽しみにしている事が、その土地ならではの車両や線路を見ることですので、接続する路線がない(=孤独な)路線というのは、とても退屈しそう。小学生の頃、新幹線車窓から、名古屋駅在来線ホームに停まるボンネットのキハ81先頭・食堂車付のくろしお号を、(キハ82に比べて)格好悪いし、薄汚いし、退屈しそうだし、あんまり乗りたいと思わない列車だなぁ…と見ておりました。

ここから先が長く感じるだろう紀勢本線ですが、僅か11分で、終点白浜駅が見えてきてしまいます。(退屈なんてとんでもない)

こっちに入るか、0番線だ。

15:47、終点白浜に到着します。新大阪から2時間32分、集中力が切れなくて、ちょうどいい時間かも。本当は新宮行に乗車したかったのですが、いつの間にか283系での新宮行は、新大阪15時台発1本だけになってしまいました。これだと途中で日が暮れてしまうし、その日のうちに東京に帰れません。

パノラマ車のクロ282、イルカをイメージしたとのことですが、サメの方が近いような気がします。乗るまではパノラマグリーン車の最高傑作だと思っていましたが、ハイデッカー構造でないことから、ちょっと違ってました。

時間があるので、和歌山側の踏切に行ってみます。

283系のパノラマでない側の顔を、この日初めて見ました。イルカではなく、くじらに見えます。それとこの0番線は、付属編成を繋げた9連だと入れない。

和歌山方面を望みます。左側に、中間車の妻面をむき出しにした381系付属編成を留置する側線があったような記憶でしたが、私の記憶違いのようです。

287系パンダくろしおの、くろしお28号が出発します。ずいぶんと目つきが悪いパンダです。

後ろはもっと悪い。

私の秋の関西地方への旅行は、いつもセイタカアワダチソウが満開のような気がします。

外から見る0番線に停車するオーシャンアロー。せっかくの洗練されたデザインの車両ですので、もうちょっと絵になる場所に停めてあげたいです。

バスまで時間があるので駅を見ます。駅舎は特徴ありませんが、

駅舎中の雰囲気はとてもいい。高い天井に1番線ホーム側の解放感、古き良き昭和の観光駅…、いや違う、どこかで見た記憶があるぞ…そうだ!雰囲気が台湾の駅にそっくりだ。

待合室と売店と観光案内所、これは国鉄仕様。30年前に周遊券で回った北海道の駅がみんなこんな感じでした。

プラレールがあります。どう走るのか予測できない配線で、ずっと見ていられそう。プロが作ると違う。

駅前はシャッター通り、誰も歩いていません。

17:00発の白浜空港行のバスに乗ります。東京ではもう見ないステップのある古いバスでした。乗客は私たった一人、寂しいなぁ。
しかし、途中のアドベンチャーワールドのバス停では、キャリーケースを引いた観光客が長蛇の列を作っており、バスは満員になります。鉄道には人が乗っていませんでしたが、観光客は戻ってきたようで、昨年の“Go To トラベル”のような状態です。南紀白浜空港18:30発の羽田行JAL218便も満席だったのでした。
(乗車は2021年10月)
新規の乗車が無いのでしばらく更新お休みします。
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