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南海高野線・特急こうや乗車記

大阪に来ました。午後からですが、南海高野線と鋼索線の乗りつぶしをします。まずは南海難波駅構内の立ち食いそば屋さんで腹ごしらえ。割り箸タワーで有名なのは、この店だったのか。せっかくなのでスペシャルそばを注文。海老天に玉子がのってるだけでなく、器も大きく見た目もスペシャルです。

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乗車します13:00発の特急こうや5号は、出発10分前に入線します。今日の車両は非貫通の方の30000系で来ました。特急こうや号といえば、子供の頃に特急図鑑で見たデラックスズームカーこと20000系が強烈な印象で残っているのですが、大窓でデラックス、そして前パンという伝統をしっかり引き継ぎ、なかなか格好いいではありませんか。この車両、私が実車を見る事が出来なかった20000系と入れ替わりでデビューしましたので結構古いはず。調べてみれば1983年製、もう35年目なのか。私も年を取ったなぁ。

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ずらり電車が並ぶ、関西の私鉄ターミナルならではの光景も1枚。ちなみに奥に見えるラピートだって、もう登場して23年にもなります。

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それでは出発、ドーム屋根の外に出ますと日差しが強く、ちょっとカーテンを閉めます。指定券は1時間ほど前に難波駅で、進行方向右側で出来るだけ前の席とリクエストして購入したのですが、先頭車の4列目という満足な席で、背筋を伸ばせば前方も見ることが出来ます。

新今宮で外国人観光客が10名程乗車、天下茶屋ではどうだったか忘れて、岸里玉手で本線と分かれ、さぁここからは初めて見る景色です。地上に降りると、車窓は昔からの住宅地で、京王井の頭線のような雰囲気の中を走ります。駅の間隔が短く通過線を持つ駅がすぐに現われるのは関西の私鉄らしい。

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大和川を渡ります。阪堺電気軌道の鉄橋が近くにあるはずですが、道路の橋が邪魔をして見えません。川を渡れば古い住宅街から新しい住宅街になるからか、京王井の頭線から小田急江ノ島線のような風景になります。

中百舌鳥駅を通過。子会社である泉北高速鉄道の分岐駅ですが、高野線は急行も止まらない駅だと知ったのは、この日の旅行の復路。そして、この路線のすれ違う電車で注目なのは、1960年代に製造された片開き4枚扉の6000系。最古参なのに今もバリバリ急行運用に主に入っているというのは痛快です。それと8両編成なのですが、4両+2両+2両という運転台だらけの編成も多く、引退したら地方の私鉄でそのまま使ってもらえそう。帰りに当たればいいなぁ。だんだん沿線に農地が見えて来て、左前方に山が迫って来ます。金剛に停車。

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金剛駅の隣の上りホームの出発案内板に「特急こうや」と出ていたので、前方にカメラを構えて撮れた写真。今度のこうやは貫通タイプの31000系のようです。

河内長野の手前で、左右に車両基地が展開し、右には本線系統の特急ラピートやサザンの姿も見えます。左は順光の太陽光線を浴びてステンレス車体を輝かせている6000系の姿があって、とても格好いい。河内長野に停車。隣の近鉄長野線のホームは、電車は停まっていませんが大勢の客が立って電車を待っています。帰りはこの路線にも乗る予定です。

ここからは多摩丘陵を抜ける京王線みたいになりまして、しばらくして新しそうな複線のトンネルで山を抜けます。大阪の地理には弱いのですが、この辺の山地は何と言うのだっけ?(帰って調べてみて…そうか、和泉山脈だったか。これを阪和線が越える所が山中渓で、こんな風に繋がっていたんだ。)

次の停車駅は林間田園都市、山が深くなり、林間はわかりますが、田園はあるのか?というぐらいの雰囲気になって来ます。単線のトンネルが2本並ぶところもあって、昔からあるのはたぶん上り線の方でしょう。後から知るのですが、このトンネルが大阪と和歌山の境になります。

停車する林間田園都市周辺に、田園はやはり見当たりませんでした。その後坂を下り、左側に谷がきれいに見え、ここにちょっと田園が見えます。途中にはまた車両基地があり、非貫通の特急こうや30000系が休んでいました。右から単線の和歌山線が近づいてきて、13:43に橋本に到着です。

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がらんとした橋本駅。105系の姿はありません。2分の停車で出発、ここからが面白いはずなのだ。

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まずは右へ右へとカーブし、JR和歌山線の下を潜り、紀ノ川を渡ります。数日前の台風の影響でか、水の量が凄い。

まだまだ右へ右へとカーブし、橋本駅から180度向きを変えて、紀ノ川を下流側へと進み、直線になるとスピードを上げて来ます。次の紀伊清水で交換するのは2000系ズームカーの4両編成。ここは17m車しか走れない区間になります。

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2016年1月にJR和歌山線に乗りに来た時、紀ノ川沿いは柑橘類がいっぱい植わっているなぁ・・・という印象でしたが、今の季節は柿でしょう。ちょっと興味をもって調べてみれば、柿の生産量は和歌山県が断トツの1位のようです。場所柄、実より葉っぱの方が需要がありそうですが、どうなんでしょう。

紀ノ川から離れ、学文路、九度山といい雰囲気の駅が続きます。この辺は東京の路線に例えると、JR青梅線の青梅~御岳間みたいな感じ。九度山の保線車両の基地も、似たようなのを青梅線のどこかで見たような気がするのですが、どこだっただろう。

景色はどんどん変わります。ここからは右に今は水量が多くてちょっと怖い渓谷が見えます。龍王渓と書かれています。高野下ではクロスシート2両編成の2300系と交換。側線では昼間というのにモーターカーが動いています。

高野下を出ますと、急カーブで車輪をキイキイ軋ませて、坂を登って行きます。昨年秋の台風被害で、約半年間も運休していた区間でして、大型車両(17m車なので中型か)が走る路線とは思えないぐらいの険しい山岳路線となります。

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下古沢をゆっくり通過します。カーブしたホームに駅員さんが赤い旗をくるめて持って立っています。最近このような光景はあまり見られません。なんだか海外の鉄道に乗ってるみたいです。駅を出てからの右手は、密度の濃い竹林、絶壁から見下ろす谷(落ちたら大変だ!)、数日前の台風の仕業なのか根こそぎ倒れた大木。乗り潰しの時は、たいていはメモしながら乗車しているのですが、そんな余裕ないぐらい目が離せない車窓です。

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昔は交換可能駅でしたが、谷側の線路を剥がしてしまった上古沢駅。後になって知るのですが、ここが昨年の台風で被害を受けたところでして、道床が流出してしまったとのこと。山の斜面にある駅で、人家は谷のはるか下。こんな高いところに駅があったのでは、登ってくるのは大変。利用する人なんていないだろうなと思いつつ通過する駅を眺めていたら、待合室に登山者が休んでいました。

車内放送で観光案内が始まります。どんな内容だったか忘れてしまいましたが、こんなところに、昭和5年という時期によく線路を敷きました。今までは「○○線みたい・・・」と東京の路線に例えて、適当にほざいていましたが、ここからはそんな発言は失礼にあたるような気がします。あえて例えるとしたら、森林鉄道の世界に近いのではないでしょうか。もう一つ感じたことは、宗教の力というのは凄い。

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またしてもホームに駅員さんの立つ紀伊細川を通過。隣の線には保線用のモーターカー動いていました。その後線路際には、台風の影響でしょうか、斜面が崩壊しないように土留めをした箇所、ブルーシートを敷いた箇所、そして保線の作業にあたる職員の姿が見え、鉄路を守るのは大変なんだなぁと実感です。

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紀伊神谷駅を通過。ここは凄い秘境駅なんではなかったっけ。4両編成の各駅停車と交換。

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極楽橋駅が見えてきました。留置線に電車の姿は無し。ケーブルカーに乗り換えをするためだけの駅で、周りには何もないとのことですが、3面4線という規模は、さすがは高野山です。

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14:17に到着。

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ゆっくり駅や電車を観察したいところですが、6分後に出発するケーブルカーに乗るため、先を急ぎます。

(乗車は2018年10月)

次の記事:南海鋼索線乗車記
関連タグ:南海電鉄
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宮崎空港線乗車記

2018年夏の鉄道旅行は、昨年に引き続き九州となりました。当初は未乗車路線の多い東海・中京圏を約300km乗り潰すプランを立てていたのですが、もうすぐ有効期限が切れるマイルがあり、どうせなら飛行機に乗って遠くへと、鹿児島・宮崎両県すべてを乗り潰してしまいます。金曜夕方に羽田を出て、降り立ったのは宮崎空港。

最初に乗車します宮崎空港線は、日南線田吉駅から分岐する1996年に開業した全長1.4kmの支線、あの小松島線より短い路線になります。実際の運行は「空港線」と称する宮崎~宮崎空港間の6.0kmで、大分方面から乗り入れてくる特急列車も、普通乗車券のみで乗車できるのが特長か。

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小さい空港なので飛行機を降りて5分でたどり着ける鉄道ホームで待っていたのは787系4連、18:25発ひゅうが4号延岡行きになります。

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隣に817系の普通列車が入線、乗る電車に当たりと外れがある路線であります。

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先頭のクハに乗車します。787系の普通車に乗車するのは初めてですが、車内のインテリアは今でも優れていると思います。しかし短い編成で延岡行きという短距離特急に運用されるなんて、787系も落ちぶれてしまったんだなぁ。最初見た時は、おフランス製高速列車のパクリっぽい顔に驚いてしまいましたが、特急名称としてのつばめ復活、サハシも復活、デビュー時の輝きは、近年の在来線特急史上一番と言っていいぐらいでした。これもまた人生(車生)、むしろ喜ばしいことかも。同時期製造のスーパーあずさE351系なんかには、もう少し臨時列車用としてでも活躍して欲しかった。

さて出発です、ホーム・車内から飛行機を見下ろせるところは他にありましたっけ?なんか新鮮です。高架を下ると、線路際の伸びた草が車体に当り、これは特急列車だったっけと思うぐらいに揺れたりもしますが、スピードに乗って来て田吉駅を通過。日南線との合流地点は気付きませんでした。これで宮崎空港線は完乗です。

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4分の乗車で、右手に車両基地が見えて南宮崎に到着。ここで降ります。隣には2日後に乗る海幸山幸。

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改札を出て駅前広場を見ます。古いビルに一昔前の地方都市の風情があって、椰子の木がいかにも宮崎らしい光景です。ここは一時期ブルートレインが終着駅としていた駅でもあります。そんな感慨に浸っている暇はなくすぐにまたホームへ。

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西都城行きの普通列車が来ますので反対ホームで待っていると、713系の4連が来ました。4連の運用なんてあったんだ、いいものが見れました。

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車両基地には海幸山幸、キハ40系、713系が休んでいます。

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18:37に713系の普通列車宮崎空港行きが到着。この列車は、ここで11分停車し、18:48に出発します。713系は、ここ南宮崎駅で全4編成見れたことになります。

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そしてその間に18:42発の大分発宮崎空港行きの、783系にちりん17号が入線。一応特急列車ですが、実質普通列車ですので、普通列車が普通列車を追い越すという珍シーンが展開されます。

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先発のにちりん17号で宮崎空港に戻ります。783系も普通車に乗車するのは初めて。後方の展望は、車掌さんと目が合ってしまうのが気まずくて、そんなには楽しめません。日南線との分岐は田吉駅を出てしばらくの所にあり、今度はちゃんと確認できました。

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宮崎空港駅の空港と反対側の景色、椰子の木が台湾みたいだなぁ。

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やはり4分の乗車で18:46に宮崎空港に到着。なんか艶っぽい写真が撮れました。

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側面には「Since 1988」とあるので、こっちはデビューして30年になるんだなぁ。パンタグラフだって国鉄電車と同じ大きい菱形。自分も年を取るわけだ。(ちなみに787系は、783系の4年後輩でデビューして26年目)

また改札を出るのですが、JR九州の非接触式ICカードリーダーは「ピッ」という音が小さいのでつい立ち止まってしまいます。引かれる額は3.4km乗って330円、宮崎空港線の加算額100円があるので、実質特急料金を払っているみたいでもあります。特急料金無料で得するのは、宮崎田吉間の乗客と、青春18きっぷ利用者のみといったところでしょう。

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傾いた夕日をバックに入線します南宮崎駅で待避していた713系電車、これの折り返しの19:03発の普通列車延岡行きに乗車します。宮崎に来たからには、ここでしか見られないこの電車に乗っておかないとということで、今まで時間を潰していたのでありました。

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2両編成ですので車内はちょっと混雑。転換リクライニングシートに交換したのはいいとして、ごちゃごちゃしたインテリアがちょっと不快。それと冷房機の音が大きく、昔の101系や103系の冷房車みたいです。

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日が沈みます。今日も暑かった。ニュースでは、名古屋で観測史上初めて40度を越えたとのことで、旅行先を九州にしておいて良かったです。

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田吉キハ交換では志布志行きキハ40と交換(写真)、南宮崎では6分も停車し、西都城行きのキハ40系の普通列車と交換。

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出発してやっと大淀川を渡ります。水量が多いのは、大雨の後だからか、それともいつもこうなのか。それと昔、ここを渡るブルートレイン彗星を俯瞰気味に撮影した写真を見て、同じような写真を撮りたいと思っていたことがあるのですが、あれはマンションの上層階からとった写真だったんだな。

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宮崎到着。この713系、国鉄末期に4編成8両しか製造されなかったのですが、鉄道車両技術史(主に電気技術的な)において、当時は革命的な車両であったと記憶しています(内容について知ったかぶって書くとボロが出そうなので省略)。でも乗ってみれば普通の電車。考えてみれば、その後大量製造される普通の電車の基礎となった電車なので、普通の電車で当然なのだ。

お腹が空きました、駅に渋い店構えのうどん屋さんがあったので、そこで夕食にしてしまいます。うどんは全く腰がないのですが、疲れた体にちょうどいい。それと出汁が効いていてとても美味しい。駅前のホテルにチェックインし、今日は早く寝ます。

(乗車は2018年8月)

次の記事:きりしま1号パノラマグリーン車乗車記
関連タグ:JR九州

アルピコ交通上高地線乗車記

期間があいてしまいましたが、2月の平日休みに行いました「E351系スーパーあずさ5号お名残乗車記」の続きです。

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松本に到着してその後は、信州の鉄道にいろいろ乗ってみようと思います。まずは松本電鉄ではなくてアルピコ交通の上高地線に約20年ぶりに乗車します。予定では10:45発のに乗る予定でしたが、スーパーあずさ5号の遅れにより1本後の11:28発のになってしまいました。結果、松本でゆっくりE351系を見ることができましたし、松本電鉄ではこのモハ10形リバイバル塗装の電車(3003+3004)に当たり、良かったかもしれません。車内で車掌さんから1日乗車券を買いますと、絵柄は鉄道むすめのキャラクター。車内の掲示物にもこのキャラクターがいっぱいです。

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それでは出発、お決まりのという感じの松本車両センター裏のカーブ。

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しばらくして北アルプス前衛の山が見えてきました。この路線は30年以上前(もうそんなになるのか・・・)、夏は登山、冬はスキーで何度も乗車したことがあるのですが、車窓から山々を見た記憶がほとんどありません。そんなわけで中途半端な見え具合ですが、とても新鮮に感じます。その頃は、往路は夜行急行アルプスに接続する日の出前のノンストップ便がほとんど、復路は仲間たちとの話が弾んで車窓なんてどうでも良かったんでしょう。

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新村駅で交換。そして車両基地には、凸形電機や青ガエルがまだちゃんと保存されています。維持するのもお金がかかり、撤去するのもアスベストの問題やらでお金がかかる時代になってしまっています。敬意を払って降りて見学ぐらいするべきだったと今更ながら思ったりもします。

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気付けば左側にも山々が見えてきました。奥の山は乗鞍でしょうか。

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駅員さんのいる交換可能な波田駅に到着。構内踏切を閉めなくてもいいようにするためか、ここでは右側に停車。

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途中から座れた一番前の席からの景色はこんな感じ。渕東駅で、乗客は私以外一人になってしまいます。

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11:58、30分の乗車で終点の新島々に到着です。もう一駅、島々まで線路は延びていたのですが、私が初めてこの駅に立った1984年3月には、土砂崩れで既に運休となっており、復旧することなく翌年1月に廃止されています。その時はグループでスキーに来ていたので、運転されていたとしても乗車は叶わなかったはず。

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駅前の広いバスターミナルは、30年前と全く変わってなさそうです。ただバスを待つ乗客は一人もいません。今はどうなのか気になって気になって、後で駅員さんに聞いてみたところ、2本前の電車は乗鞍方面へのバスに接続していまして、30人程のスキー客が乗り換えたとのこと。今も新島々までは電車という輸送形態は残っているようです。

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ありがたい喫煙所で一服。

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12:07発の乗ってきた電車で戻ります。ここでの滞在時間は僅か9分でしたが、このモハ10形リバイバル塗装の写真が撮れただけでも来た価値がありました。ただ昔のモハ10形の色はこんなはっきりした格好いいものではなく、もっと複雑に濁っていまして、窓回りのグレーは薬品焼けしたみたいに緑っぽく、赤は中央線オレンジを長期間雨ざらしにして色褪せさせた感じだったように記憶しています。車内の乗客は、私以外はまた一人のみ。実は私と一緒に新島々まで乗り通した同じ趣味の方です。

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車内には昔の松本電鉄の写真がずらりと貼られてまして、これが私が高校生時代に乗車した濁った色のモハ10形。とにかく船のように横揺れする電車でして、スピードを出すと吊革が踊るように揺れ、時々網棚にガチャンとぶつかるのが印象に残っています。

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こんな貴重な写真まであります。ED40とキハ58系。

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でも車内で一番存在感があるのは、鉄道むすめさんかもしれません。

復路は松本大学で女子大生が大勢乗車し車内は一気に華やかになります。みんなスーツに近いちょっとフォーマルな格好だったのですが、就職説明会とかの行事でもあったのでしょうか。その後も乗客はどんどん増えます。

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到着した松本駅ホームは、大糸線上り列車も同時に到着したので、狭いホームはラッシュ並みの混雑。その流れに逆らってたどり着いた駅ホームのそば屋さんの壁面と天井には、チャレンジ20000kmのゲームに、ディスカバリージャパン時代の駅スタンプが飾ってありました。

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特上山菜玉子かきあげそば570円で体を温めて外へ。このホームは私の青春時代の想い出が一杯詰まった場所になります。旧型国電に夢中だった中学生時代は、どんな車両が連結されているだろうとワクワクして大糸線を待ち、登山やスキーに夢中だった高校生時代は、山の天候を心配しつつ挑戦する気持ちというのをしっかり持って、ここに立っていたのです。喫煙所で一服しながら思うのは、おっさんになっちまったなぁ~。去り際にはここで深呼吸、運気が上がって、何かいいことあるかもしれません。

* * *

急いで上田に移動します。特急ワイドビューしなの9号は10両という長い編成で来ました。自由席はガラガラ。この383系も、デビューした年は先に引退するE351系と1年しか変わりませんので、そろそろ後継車の話が出てもいい頃でしょう。見どころの姨捨駅のスイッチバックは、ちょうど検札が来見逃してしまいました。それと篠ノ井線松本以北の普通列車は、211系かと思いきや、今は127系の2両編成ばかりなんですね。

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次のしなの鉄道の小諸行普通列車は、湘南色で来ました。この区間は、しなの鉄道になってからは初めて乗車します。屋代線の跡は、生々しいぐらいにまだ残っていたのが印象的です。

(乗車は2018年2月)

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長崎電気軌道乗車記3(正覚寺下~石橋~蛍茶屋~長崎駅前)

長崎電気軌道の乗り潰し記事の3本目。

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まずは正覚寺下から西浜町に戻ります。先ほどの渋い缶コーヒーラッピング車から一転、今度はえらい派手なのが来ました。リトルダンサーシリーズの3000形でして、停留場の小さな橋に乗る大きな車体がなんともアンバランス。

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最前部左側の車輪上で一段高くなった座席に座ってしまいます。バスで言うオタ席でして、なかなか眺めがいいぞ。

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0.7km乗って西浜町停留場で下車。ここで並んだ2両の年齢差はちょうど50年になります。(手前の3000形は2003年製造で実はそんなに新しくはない、奥の300形は1953年製造)

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西浜町のデルタ線を3辺とも乗車しておきたいので、「西浜町停留場」から100m以上離れている同じ停留所扱いながら別の乗り場の「西浜町(アーケード入口)停留場」まで歩いて移動し、ここから4つ目最後の終着駅の石橋行きに乗車します。

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⑤号系統の石橋行きは10分ほど待って乗車。またまたいい席に座れました。一番輸送密度が高い区間ですので、電車がうじゃうじゃいます(この写真には4両いる)。ところで長崎電気軌道には何両の電車がいるんでしょう。この界隈だけで20編成はいそうですが、Wikipediaによると75編成(2016年4月時点)とのことで、思ってたより少ない。昨年乗車したとさでん交通はどうなんでしょう。長崎に比べて運転本数は少なそうですが路線全長は長い。答えは63編成。ちなみに都営荒川線は33両で、一番編成数が多いのは広島電鉄のようです。

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ちょっと走って築町の分岐です。道路情報を伝える電光掲示板には、「8月15日・精霊流し」とあります。そうか、明後日なのか。

右手に建物がない空間が広がって、海がすぐそこにあるみたいです。大浦海岸通停留場から単線になって、海に背を向け内陸部へ。

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右手にグラバー園という観光施設が見えまして、次の大浦天主堂下停留場では蛍茶屋行き電車を待つ人がいっぱい。グラバー園帰りの観光客でしょうか。川沿いの石畳の単線線路を進み、終点石橋に到着です。

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乗車してきたのは1980年代のデザインの1200形の1205号。今は機器類を更新して1200年A形というらしい。

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海から離れたはずですが、なぜか潮の香りがします。駅から離れてみると、ここも暗渠になっていまして、昔は広い運河だったのかもしれません。今はヘドロが溜まってますが、鉄道を支える杭に貝みたいのが付着してますので、満潮時には潮が満ちて来るのでしょうか。散策したら楽しそうな路地も見えますが、すぐに戻ります。

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次に乗るのはまた新型の3000形。オタ席は他の人に譲り、運転席後ろ右側クロスシートに座ります。ここも眺めはいい。しかしこの手の新型路面電車は、昼間に乗るぶんにはいいのですが、日が暮れてからの乗車となると窓ガラスが明るい車内を反射してしまい車窓がほとんど見えないのが難点。昨年の四国松山では、これで残念な思いをしています。

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残りの未乗車区間は築町~長崎駅前4駅なのですが、蛍茶屋までまた戻りまして、②号系統のかぶりつき席に座って完乗しようと思います。

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西浜町で撮れた1枚。

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出島を昔は海だった側から見て長崎駅前に到着。最後に乗車したのは1500形という電車。乗車してかぶりつき景色を楽しむのは、窓が大きいこの手の1980年代デザインの軽快電車が一番いいかもしれません。外見だって格好いい。

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しばらく歩道橋上で電車を見てますと、古い両端ドア車が3本も揃いました。左手前が③系統の202、左奥が①系統の208、右が②系統の301。

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こちらの202は1950年製。両端にドアがある車両は、かぶりつき席が無いので乗るよりも撮影する電車。均整がとれていてとても絵になります。

これで長崎電気軌道の乗り潰しは終わり。混雑で全く車窓が見えなかった住吉から公会堂前までの区間は、機会があれば乗り直しが必要です。今日は飛行機の時間も迫ってますのでもう無理。

* * *

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こちらは長崎空港へ向かうバスの発着するバスターミナルで、小洒落たJR長崎駅(まだイベント開催中で賑やか、というよりうるさい)とは対照的に、実に昭和の雰囲気を残す空間が残っていました。

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とても静かなので、なんだか深夜0時過ぎに発着する夜行急行列車を待ってるみたいな雰囲気だなぁ。それと長崎のお土産にはびわゼリーというのがあるんだな。これも昭和っぽい。

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2階は喫煙者に優しい喫茶店。それと写真ではシャッターを下ろしてしまいましたが、立食いうどん屋さんもありまして、当店一番人気という佐世保駅でも食べたゴボウ天うどんを注文。こっちは値段が半額、もちろん天ぷらは作りおきで、テーブルに出される時には汁を吸ってしまっているのですが、一口大でスッポ抜けることもなく美味しいぞ。

それとバスターミナル外にある喫煙所にて一服中、蛍茶屋の停留場で聞いたのと同じ、重機が建物を解体するようなガラガラ音がここでも聞こえます。山の斜面を見上げてなるほど、墓地で爆竹を鳴らし、花火を上げているではないですか。これが歌で歌われているのと全然違うという、賑やかな長崎のお盆のワンシーンだったのか。一つ疑問を解決出来てスッキリです。

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特典航空券を利用して、羽田最終便で帰ります。これで九州鉄道旅行の記事は終わりです。

(乗車は2017年8月)

前の記事:長崎電気軌道乗車記2(蛍茶屋~正覚寺下)
関連タグ:路面電車長崎電気軌道

のぞみ喫煙グリーン車で九州へ

2017年夏の乗り潰し旅行は九州へ、8月3連休の一番混んでる3日間で回ることになりました。1ヶ月前の指定券発売初日の夕方にサイバーステーションを覗いてみますと、この日の朝の東京から小倉までの通し指定券はほとんどがすでに×(満席)、慌てて立川駅指定席券売機に並び、東京7:13発のぞみ155号喫煙グリーン席を確保しておいた次第です。窓際はこれしかありませんで、グリーン券の出費が痛いですが、取り敢えず喫煙者で良かった。

ところで年末の帰省ラッシュで一番混む日に、私は東京から京都まで何度か新幹線に乗った事があるのですが、グリーン車だけは3,4日前でも窓際が空いていました。博多行きってこんなに混むのか、サイバーステーションでこの列車の区間ごとの状況を見てみますと、
⬛東京→新大阪:○空席あり
⬛新大阪→新神戸:△空席残りわずか
⬛新神戸→岡山:Ⅹ満席
⬛岡山→広島:△空席残りわずか
⬛広島→博多:○空席あり
なるほど!新神戸~岡山間が最初に埋まってしまうのか。首都圏から大阪を越え中国地方への乗客と、関西地方から中国・九州地方への乗客が重なってしまう区間ということで、こうなってしまうのでしょう。

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さて当日の東京駅、自由席に並ぶ列は階段下まで続く状況で、今頃テレビの取材が来てるのかもしれません。出発したらおにぎりの駅弁を食べ一服。700系も引退が発表されましたので、こうして約5時間も喫煙座席で過ごせるなんて、これが最後かもしれません。後は新大阪までほとんど寝て過ごします。

新大阪では、前を走る列車の混雑の影響により、駅手前で10分程停車したので、12,13分の遅れで出発。いつも指定券を取る時は対向列車の見える進行方向右側ですが、今回は左側にしました。数少ない上り山陽新幹線に乗車する時は、今まで夜間か山側でして、下り列車の左側、つまり海側の景色というのを私はほとんど見たことがないのです。

印象に残った光景を列記しますと、まずはかつての宮原操車場。並ぶ車両は、スカイブルー103系、EF65PFの原色とトワイライトエクスプレス塗装、もちろん原色のDD51、サロンカーなにわ、なんだか国鉄時代にタイムスリップしたかのような光景でして、これが大阪の中心部で見られることに驚きです。山陽電鉄並走区間は、防音壁があって見えるのは半分ぐらいでしたが、いろんな電車が見られて楽しい。相生の赤穂線分岐箇所のカーブとトンネルは、山陽本線から見ると独特の雰囲気があって私は大好きなのですが、新幹線から見てもよい。広島手前の車両基地では、EF67はまだ現役、でも電車の半分が茜色の227系になっている。新岩国ではカーブした錦川鉄道の線路がちらっと見える。これ乗るときはここで乗り換えてギャップを楽しみたい。5年前に岩徳線に乗車した時に見えると思っていて全然見えなかった徳山の工場地帯は、新幹線からは良く見える。それと徳山駅が海がこんなに近かったとは知らなかった。駅前が港ではないか。

思った以上に車窓を楽しめて、遅れは8分までに回復し、12:15に小倉到着。急いで階段を駆け降りて改札を抜けJR九州の窓口へ向かいます。混んでなくて良かった。ここで長い時間並ぶことになって、乗る電車が遅れると面倒なことになるのです。買う切符はJR九州の普通列車と私鉄3日間乗り放題の「旅名人の九州満喫きっぷ」。旅名人なんて言葉を発するのはちょっと恥ずかしいな。ホームへ降ります、まだ時間があるぞ!かしわうどん行っちゃおう。ゆるゆるのうどんを食べ切ったところで、乗車予定の12:29発門司港行きが入線。でも大丈夫、ここで5分停車するようです。かしわうどんは、最後に飲み干す汁が美味しいのだ。

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余裕で車内へ、かしわうどんには、次から次へと客が来ます。こういう食文化は、いつまでも続いて欲しい。

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門司港に到着です。

(乗車は2017年8月)

次の記事:平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線(北九州銀行レトロライン)乗車記
関連タグ:新幹線喫煙車
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QJ7000

Author:QJ7000
おじさん鉄道ファンの日本の鉄道の乗車記録です。2012年、ふと日本の鉄道全線に乗ってみたいと思うようになり、乗りつぶしをスタート。その時の未乗区間は7,818.4kmでしたが、12年目にしてあと1,002.5kmになりました。すべて乗りつぶすには、今の生活パターンだと、まだ7,8年ぐらいはかかりそうですが、路線や車両に愛情を込めながら、少しずつ記録に残しておこうと思います。古い記事をご覧になりたい方は下のカテゴリーの「年別目次」からどうぞ。

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