錦川鉄道錦川清流線乗車記
まずは、JAL派なので滅多に乗ることがない朝早いANA便で岩国空港に到着。この空港、岩国駅まで連絡バスで数分というアクセスの良さで、こっちを広島の主空港とした方が良いのではないかと思うくらいです。
降り立った錦川鉄道の発着する岩国駅0番ホームで、9:53発の錦町行を待つ人は、私たちの他に2人の地元のお年寄りだけ。ネットの噂では、神社で参拝者向けに押印される“御朱印”の鉄道版とも言える“鉄印帳”が大ブームだそうで、主催する第三セクター鉄道の一つである錦川鉄道にも、連休中ですので鉄印帳を手にした旅行者がたくさんいるのではないか、早めに並ばないと錦川を望める右側座席の確保が難しいのではないかと心配していたのですが、拍子抜けするほど人がいません。

やってきた錦町行は単行でした。事前に申込んでおいた、列車限定で岩国錦川往復が約半額になる“昼得切符”を、乗務員の方から名前を呼ばれて車内で受取ります。これもGo Toの恩恵みたいです。出発間際に旅行者2組と、小学生とお母さん5組ぐらいが乗り込んで、少しは連休中のローカル線らしくなりました。
それでは定刻に出発。最初は8年前に岩徳線で乗った区間なのでだいたい覚えています。渋い駅舎の西岩国を過ぎ、錦川を渡るところで岩国城が見えます。よくあんな高い所に建てたものです。その向こうにある錦帯橋は3連休中日ということで今頃凄い混雑か。川西に到着します。
錦川鉄道錦川清流線の私にとって一番の魅力は、やっぱり川西駅を出て1.9km先にある、名前の通り森の中に存在する森ヶ原信号場で岩徳線と分岐するところでしょう。幸い運転室横に陣取っていた小学生達が川西で降りたので、かぶりつきできます。

トンネルの手前に信号機があります。右側が青だ。

抜けたところで森ヶ原信号場が忽然と現れます。

昔の山陽本線である岩徳線と分岐します。素晴らしい分岐シーンではありませんか。さぁここからが初めて乗る区間です。その後の錦川清流線ですが、1960年開通と旧国鉄線としては新しい路線ですので路盤が立派、風景に似合わず、意外とスピードも出します。

そろそろ新幹線との乗換えができる清流新岩国駅ですが、なんだ?この右に分岐する怪しいポイントは。新幹線の保線基地に繋がっているみたいです。
新幹線と旧国鉄岩日線である錦川清流線、ただ交差しているだけだと思っていたのですが、新幹線の建設資材を岩日線を利用して運搬していた歴史があったようで、昔は交わっていたのか。

高架の下に清流新岩国駅が見えてきました。2013年まで御庄駅という、新岩国とはまるで関係ない駅みたいでした。

この路線に乗りに来る時は、新幹線からここで乗り換えて、そのギャップを楽しんでみようと思っていましたが、そうはなりませんでした。
その後、清流新岩国の次の守内かさ神から錦川に沿って走ります。川に最も近づく区間は徐行してくれます。清流線を名乗るだけあって、川の水はきれいで川底の石までしっかり見えます。河岸の石も白く、天気が晴れだったら、もっとキラキラして美しく見えただろうなぁ。写真は撮り損ねてしまいました。

交換する北河内駅の手前で席を立ち、運転室横に立ちます。旧国鉄建設線級とまではいきませんが、立派な高架を走ってます。

交換するのはピンクの車両。

北河内駅を過ぎると、川の反対側の左側にも徐行運転をする見どころが2か所ありまして、それは滝。ただし、しばらく雨の降っていない11月ですので水量が少なく、岩の上から湧水が染み出ているぐらいにしか見えません。写真は椋野と南桑の間で見れる「かじかの滝」。

次の見どころは南桑と根笠の間に出来た、清流みはらし駅。清流を見るためだけに造られた、どこの集落にも人家にも繋がらない駅で、この列車は徐行して通過します。
この列車の転換クロスシートの枕部分には、簡単な沿線案内が掲示されていて、これを見ておけば車窓の見所と徐行区間が全て前もってわかるのでありがたい。

そして屋根のR部に掲示された沿線案内。これもまた素晴らしい出来です。錦川清流線を愛し、沿線の情景や歴史を知り尽くした人による作品で、早く気づけばよかったです。河山には鉱山の積み込み施設があったんだ。

11:01、終点の錦川に到着します。1時間弱で32.7kmの乗りつぶしが完了、山口県の路線もこれで完了です。

錦町駅の全景です。一匹でかくて変なのがいるぞ、

まさかの烏山線キハ40。2017年にレトロ調車両としてイベント用に転属してきました。


キハ40なら先程岩国駅で岩徳線用タラコ色のをたくさん見たばかりなので、今はあんまり有り難みを感じられないのが正直な感想です。末永い活躍を期待しましょう。

乗車してきたNT3003は、しばらくお休みのようで車庫へ。
次の岩国行きまで1時間半待ち時間があります。駅舎の2階にレストランがあって、お昼はここでカレーでも食べる予定でいたのですが、なんと営業していません。駅周辺に飲食店はここしか無いようなのですが、幸いにも川を渡った500m程歩いた先にスーパーマーケットがありました。惣菜売り場でお弁当を買って駅に戻り、ホームのベンチで食べます。同行者にとっては、折角の旅行の最初の昼食が、冷たいスーパーの弁当になってしまい申し訳ない。
さて、錦川清流線は、元国鉄岩日線で岩国から山口線の日原までを結ぶ計画だったのが、ここ錦町までしか開通しなかったわけですが、未開通部分の錦町から雙津峡温泉まで6㎞の路盤に、とことこトレインという電気自動車を走らせているので見に行ってみます。

これがその電気自動車か。車体に“GO TO”と書かれているぞ、こんなところでも“Go To”やっているのか?これは車両の愛称“ガタくん”、“ゴトくん”の“GO TO”でした。 鉄道路線の乗りつぶしをやっているなら、ここもしっかり乗るべきところですが、今の時期、窓のない吹きさらしの車体で片道40分耐えるのは辛そうなので、今回は予定に組み込んでいません。

岩国からの下り列車が到着します。私の乗った1本前と違って、座席の半分が埋まるぐらい混雑しています。

信号機みたいに3色並びました。帰りの12:31発岩国行も空いていまして10人ぐらいしか乗っていません。今日は朝早かったので、復路の半分は寝てしまいました。
岩国からは初めて乗る227系で宮島口へ向かいます。いい電車だなぁ。今日の鉄道趣味の活動はこれで終わり。宮島口側にあるホテルに早めにチェックインします。
(乗車は2020年11月)
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