石巻線末端部の乗車と女川駅

仙石東北ライン快速で石巻に到着し、4分の接続時間で次に乗車するのは、14:21発石巻線の女川行になります。車両は、“奥の細道”の黄帯ですので陸羽西線用キハ110のようです。小牛田側キハ110-244は、最上川を眺めるための一人掛け回転クロスシートの装備車だったようですが、気付かずに普通の石巻側先頭車に乗ってしまいました。

先頭車でかぶりつきです。運転室上の運賃表は、震災前の気仙沼まで通じていた時代の気仙沼線全駅が掲載されていました。出発してしばらくして旧北上川を渡ります。

陸前稲井~渡波間の直線区間を進みます。

沢田~浦宿間は万石浦に沿って走ります。ここも海に繋がっていますので津波と地盤沈下の被害を受け、震災から2年間不通だった区間になります。20年以上前に乗った路線ですが、仙石線と同じように全く覚えておらず、初めて見る神秘的な風景に、なんだか癒されます。
浦宿から女川まで2.3kmは、震災後に新線に付け替えられた区間となっていますが、しばらくは昔のままの路盤を走り、その後太平洋側に抜けるトンネルに入ります。

トンネルを出ると真新しい嵩上げされた造成地になります。ここが新線になるのか。ここをほんの数100m走ると、終点女川駅が見えてきました。

14:46、終点女川に到着しました。

女川で時間を潰し、1時間39分後の列車で帰る予定ですが、雪がまた降ってきました。傘持って来なかったし、時折強く吹く風がとても冷えるし…、もう9分後の14:55発で帰っちゃおうかな、と一瞬思いましたが、それでは女川に失礼です。改札を出て、パーカーのフードを被って海に向かって歩きます。

振り返って見る新しい女川駅です。震災で流され、200m内陸側の嵩上げされた土地に作られました。上には温泉施設が入ってます。

新しく整備された商店街のシーパルピアを抜けると、港が見えてきました。それとちょっと晴れてきた。

この緑の壁のモニュメントはなんだろう?

裏側に回ってみてビックリ!なんと!鉄筋コンクリート造2階建の建物が津波でひっくり返ってしまったんだ。旧女川交番だそうで、この状態になりながらも建物はほぼ原型を保っているのがすごい。杭はこんな風に折れてしまうのか。津波の威力に鳥肌が立ちます。緑の壁に見えたのは、屋上のアスファルト防水だったのか。

海にたどり着きました。20年前に来た時も、ここに来て写真を1枚撮っていたはず。

探してみたら出てきました。標準レンズで撮っているので全体がわからず、出すほどの写真ではありませんが載せておきます。この頃は鉄道旅行にカメラを持っていかない、持って行ってもほとんど撮らないという時期でして、この時の旅行では仙台に着いて駅構内東側いた715系1000番台の形式写真4枚と、この女川での1枚、計5回しかシャッターを押していません。
女川駅周辺については 、1時間半時間をつぶすので、ちょっと調べて来たのですが、震災後に出来た駅前商店街のシーパルピア女川に、海鮮丼で有名なお店があるらしい。そこで行ってみたのですが、観光シーズンでない今の時期の平日は、残念ながら15時閉店で、もう閉まっていました。しかし魚屋さんとしてはまだ営業していましたので覗いてみると、握り寿司のパックが売っています。しかも地魚6貫600円が半額ときた。早速買ってイートインコーナーみたいなところで一人で食べます。ネタの大きさは100円均一の回転寿司の3~5倍あろうかというもので、定価の600円でも破格の値段と言えそうなもの、そして感動するぐらいに美味しい…ことに間違いはないのですが、お寿司は冷え切った体で食べるものではありません。特急ひたちで飲まなかったこれまた冷え切ったお茶で胃の中に流し込みます。なんだか悲しくなってきます。こういう時は横に温かいきつねうどんでもあればいいんだけど…。駅だとどこがいいだろう、出汁の旨味たっぷりの岡山の吉備うどん、おろし生姜をたっぷり入れた相鉄の星のうどんなんか最高だよな。

冷え切った体のまま、お店の外に出れば雪がまた降ってきました。寒い寒い、そうだ!駅の温泉にでもちょっと入ろう。
いつも温泉に入れそうな旅行の時はタオルを持参しますが、今回は予定していなかったのでタオルを購入して入ります。お風呂は小さいですが誰もおらず貸切でした。列車の時刻ギリギリまで温泉を楽しんで出ます。売店でビールを買って石巻線での飲もうか…、やっぱり止めておきます。赤の他人と向かい合わせになるボックスシートで、マスクを外してビールを飲むなんてことが許される時代は、もう終わりました。

さて帰ります。16:25発の小牛田行は、2両で10名程しか乗っておらずガラガラ。やっぱりビール買っておけばよかった。しかし渡波で高校生がドッと乗車し、全ての座席が埋まり立ち席が出るほどの満員になります。やっぱりビール買わなくてよかった。
16:50に石巻着、次は16:55発の仙石東北ライン快速の仙台行に乗り換えます。窓際の席は空いておらず、ボックスシートの通路側に座ります。これからは向かい合わせとなるボックスシートは、転換クロスシートやロングシートに改造されそうな気がします。初めての乗車となる仙石線から東北本線への連絡線は、外が真っ暗で何も見れませんでしたが、減速して編成をクネクネさせて通過です。

17:49、仙台に到着します。仙台から東京までは、いつものやまびこではなく、えきねっと50%割の恩恵で、普段は高い特急料金のはやぶさで帰ります。これで、宮城県の震災で路線の変更が行われた区間の、乗りつぶし日帰り旅行は終わりです。
(訪問は2020年12月)
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