タロコ号乗車記(花蓮→台北)2 ~帰国
このタロコ号は常に満席と言われる人気特急列車。日本の優等列車と同じようにワゴンでの車内販売があります。売れ行きも好調です。ここで日本と台湾のワゴンでの車内販売の違いに気付きましたので、ちょっと書いてみます。
日本の車内販売員の方は常にワゴンを押して車内を移動していたと思います。おそらくマニュアルで決っているのでしょう。一方、台湾はどうかというと、列車の進行方向に移動しながら販売する時はワゴンを引き、列車の進行方向と逆に移動する時はワゴンを押すのです。どういう事かというと、乗客は進行方向を向いて座っているので、台湾の場合、販売員の方は常に乗客の顔を見ながらワゴンを押し引きしているのです。
そしてここからが重要なのですが、私の乗ったタロコ号の販売員は愛嬌たっぷりの美人で、とびっきりの笑顔で乗客一人ひとりと目を合わせながらゆっくりゆっくり移動するのです。そして私の想像では、男性の乗客は買う予定が何も無くても、何か話しかけたくなってしまうような感じなのです。
男性客「今日のお弁当は何?」
販売員「豚肉のっけ弁当ですよ」
男性客「どうしようかな~美味しいかな?」
販売員「まだ出来たてで温かく、野菜もたっぷりよ」
男性客「よし、それじゃ買おうかな」
たぶんこんな感じの会話がされているのではないかと思えるほどです。
私の乗車した列車がたまたまだったのでしょうか。しかしここは檳榔売りの文化というか風潮のあった国です(これを2002年に予備知識無しで高雄で初めて見た時は目玉が飛び出るぐらいにびっくりしました。今回は過激なのは見られず)。もしかしたら狙ってやっているのではないか。しかし売上アップになりますし、ちょっとした会話が生まれる事により、旅の楽しみが日本より1つ多いという事で、私としては純粋に台湾は素晴らしい!そして羨ましいなぁと思うのです。
私も旅の思い出作りに何か買いたかったのですが、中国語喋れないし、隣の乗客も気持ちよさそうに寝てるし・・・今回は残念です。こんな文章を読んで不愉快に感じてしまう方がおられましたらごめんなさい。
東海岸と別れを告げると、一転して山の中へ分け入って行きます。線路沿いの川の流れも速く、渓谷と言っていいぐらいの感じです。海岸沿いを走っていた時よりはスピードは多少ダウンしますが、快適に飛ばし続け、線路に沿う川の流れが途中で逆になる事で、峠を越えたのが解ります。
平渓線と分岐する三貂嶺はじっくり観察してみたい駅でしたが、一気に通過してしまったので良く解らず。牡丹だったか侯硐だったか忘れてしまいましたが、深い山の中の美しくカーブした駅で、今度来れたら降りて撮影してみたい駅です。
だんだん周りが開けてきて八堵駅を通過。2002年は台北側からここまで来ました。基隆までは行っておらず、やはりこれから乗りつぶしをするとしたら大変です。車両基地が見えて日本とは明らかに違うマンション群が立ち並ぶようになり地下に潜ります。横須賀線の東京・品川間を思わせるような長めの地下区間です。
そして14:20に台北に到着。
3日間と短いながら私にとってはとても凝縮された台湾鉄道旅行もこれで終わりです。この列車は台北の12.6km先の樹林まで行きます。帰りの飛行機の時間も余裕がある事から、終点まで切符を買っておけばよかったと後悔しつつ、タロコ号を見送りホームを後にしました。
残り僅かな台湾滞在時間、最後に旨いものを食べて締めくくりましょう。向う場所は決っています。駅2階のフードコートです。食通の方には笑われてしまうかもしれませんが、私にはここで充分なんです。美味しいし、安いし、言葉が出来なくても何とかなるし。まずは牡蠣の卵とじと魯肉飯のセット。屋台で初めて食べた時の感動には及ばないか。2時間前に駅弁を食べたばかりなのでちょっと苦しい。2軒目は1日目も立ち寄った豆花屋さん、うまく通じずトッピング全部乗せにはならなかったのですが、デザートは別腹なのですんなり入りました。
お腹も満たし、地下鉄と新交通システムを乗り継ぎ松山空港へ、羽田へと帰路につきました。

(訪問は2012年5月)
ほぼ1年前の僅か3日間の旅行記を、2か月かかって22もの記事にしてきたわけですが、こうして書くためにはいろいろ調べる事もあり、台湾の鉄道の魅力を再発見する事が出来ました。日本の鉄道の乗りつぶしなんかは後回しにして、また行きたいなぁとも思い始めています。今度はここにあそこにあんな所も…、時間が取れればよいのですが、たぶん無理だろうなぁ。
しばらく更新お休みします。
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