fc2ブログ

南阿蘇鉄道乗車記

今回の旅行の最後を締めくくるのは南阿蘇鉄道。阿蘇と言えば神話の国、昨年秋にも同じく神話の国の出雲地方も回りましたが、鉄道に乗っているだけでは、駅や列車のラッピング等いろいろイメージ作りに頑張っているんだなぁ~ぐらいしか感じませんでした。しかし今回は上陸した台風が弱まって低気圧に変わった後という独特な風景の中、ちょっとしたハプニングみたいなのも度々起こり、正に神話の国に行ってきたなという感じでした。

C6213069dsc.jpg C6213072dsc.jpg
新水前寺から立野までは大牟田・熊本間でも乗車した815系というロングシートの電車と200系という赤いディーゼルカーを肥後大津で乗り継いで向います。どちらの列車も学校帰りの小中高校生で一杯だったので一番前でかぶりつきをして過ごします。立野までは1990年代後半にSLを撮影しに来た事があるのですが、どこで撮影したのか記憶を辿れないまま木々が深くなりスイッチバックの立野駅に到着します。

列車を降りてそのままホーム進行方向を歩いて行くと南阿蘇鉄道乗り場なのですが、あれっ?無い!ピッとやる改札機が無いではないですか。新水前寺ではsuicaで乗ってしまったのです。右手に財布を掲げてウロウロしていると、駅員さんらしき人が通りかかったので聞いてみますが忙しいみたいで、ICカードが使えるのは肥後大津までだよと答えただけで行ってしまいます。

C6213075dsc.jpg
困りましたが発車時間も迫ってますので、清算しないまま17:14発の南阿蘇鉄道高森行き乗車します。この列車も学校帰りの中高校生で一杯なのですが、ロングシートの一番前が空いていましたのでそこに座ります。昨年秋にさんざん乗ったキハ120と同じタイプみたいですが、前面は貫通路が無く1枚窓ですので見晴らしはとても良いです。さっきの駅員さんらしき人は南阿蘇鉄道の運転手さんでした。

さて出発、軽快に加速して行きます。それにしてもなんて山深い中を走るのか、一般的に山間部を行くローカル盲腸線は、起点が開けていて先へ進むにつれて山深くなっていくパターンが多いですが、いきなり森の中に結構なスピードで突っ込んで行くではないですか。

そして有名な第一白川橋梁にさしかかります。「この鉄橋は**年に製造されて水面からの高さは**m・・・」そんな案内がテープ音声で流れるのですが列車は全く減速する事無く一気に通過。最後に「それではこの景観をごゆっくりお楽しみください」と締めくくる時には、とっくに橋は渡り切っており、列車は長いトンネルの中を轟音をたてて走っているのでした。何なんだ?この雰囲気は、全くこの土地や路線の知識無しで乗車したら、何処かとんでもないところに連れて行かれるのではないかと、恐怖を感じるレベルです。

C6213076dsc.jpg C6213079dsc.jpg
トンネルを抜けると徐々に周りの視界が開けてきて、外輪山に雲が低くたちこめるというとても幻想的な里山の風景の中を走ります。

C6213080dsc.jpg
約30分の乗車で終点高森に到着。途中駅ではぽつりぽつりと下車客がいたものの、ほとんどの乗客が終点高森まで乗り通す感じでした。

C6213083dsc.jpg
昔はC12が走りまわっていたんだろう構内。

C6213084dsc.jpg
木造駅舎の中も中高生で一杯、雨の日の混雑した山小屋にでも入った感じです。外に出ても雨、この辺で夕食をと考えていましたが予定変更。8分後の列車で折り返す事にします。

C6213086dsc.jpg
倉庫?の影にはこんな車両。これは三陸鉄道にいなかったっけ?移籍してきたの??後で調べてみたら同型の車両のようで1998年からここで走っていたんだそうです。

C6213090dsc.jpg
乗車するのは来た時と同じMT2003Aで1986年製。ほぼ同時期デビューの松浦鉄道のは今ミャンマーで走っているとは何とも凄い時代になったものです。

C6213092dsc.jpg
帰りはガラガラでまた一番前の席で前方風景を楽しみます。ここは「見晴らし台」という駅、おそらく晴れていたら素晴らしい景色が見られるのでしょう。

C6213095dsc.jpg
ここは唯一の交換駅の中松駅。

次は「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅という日本一長い駅名、こういう長い駅名は、俗に言う子供につけるキラキラネームみたいに、後になって案内が大変で事業者は後悔しているのではないかと思ったりしなくもない。この駅名を略したような「南阿蘇白川水源」駅というのも別にあってちょっと紛らわしい。

そして次はまたまた長い「阿蘇下田城ふれあい温泉」、駅に温泉があるのか?、駅舎を注意して見ると「ここに温泉あります」みたいな張り紙がしてあったので急遽ここで下車してみる事にします。

C6213099dsc.jpg C6213101dsc.jpg
ホームに降り立ってみると神話の国に相応しい素晴らしい景観の駅、線路際には紫陽花も咲いています。

駅の温泉は地元の人で賑わっており、話題はやはり台風が低気圧になって良かったなぁという事。こういった山間部では都市に住んでいる以上に台風は深刻で恐ろしいものなんだと実感させられます。

いいお湯でしたが立野から折り返してくる列車も見たいので早めに上ります。そして湯上りにはビール!冷たいのをグイーッと飲みたい。しかし駅舎内には牛乳や清涼飲料はあるもののビールが見当たりません。恐る恐る番台に並んで座る夫婦っぽい店員さんに聞いてみますと、ちょっとした沈黙の後で静かに首を振り「ビールはありません」との答え。何だか聞いてはいけない事を聞いてしまったような雰囲気でした。その土地にはその土地のルールがあるのでしょう。仕方ありません。

C6213104dsc.jpg C6213106dsc.jpg
駅を出て観光マップを見て小学校で習った地理を少し思いだしました。ここは広大なカルデラ地形の中、起点の立野があんなに山深かったのはカルデラの入り口だったからです。熊本空港に置いてあった観光客向けのフリーペーパーによるとここは元々はカルデラ湖で神様が転んで隙間が出来た場所が立野で、尻もちをついて神様が「おらー立てん」と言ったのがそのまま訛って地名になったんだそうだ。面白いではないですか。

C6213109dsc.jpg C6213113dsc.jpg
立野からの列車が来ました。ホームには孫をおんぶしたおばあさんが列車を見に来ていて、鉄道写真家にとっては喉から手が出そうなほどの美味しい光景が展開されていたのですが私は上手に撮れず。私も小さい時は母におんぶされて電車を良く見に来ていたそうで、「こんな頃から電車ばっかり見せているとおじさん(←私の事)みたいになっちゃいますよ」と心の中で語ってみる。

C6213119dsc.jpg
帰りの列車がやって来ました。

C6213123dsc.jpg
乗客はゼロ。立野から乗る学生さんたちを迎えに行く列車のようです。

C6213124dsc.jpg
立野の手前の森を猛スピードで走ります。ここが神様が尻もちをついた跡。

C6213126dsc.jpg
立野に到着。最後に乗車するのはキハ47、と思いきやエンジンを交換したキハ147。下車した肥後大津でsuicaを清算。新水前寺~立野、立野~肥後大津分を引いてもらいます。

C6213132dsc.jpg
肥後大津から空港ライナーという運賃無料の快適なジャンボタクシーで熊本空港へ。お腹すきました。搭乗券を受け取ってレストラン街へ直行です。しかし最終便出発前のお腹を空かせた乗客が沢山いそうなのにもかかわらず、もうどこもラストオーダー締め切り時間ではありませんか。こうなったら搭乗口前のチンする焼きそばかたこ焼きしかないか、しかしここも食べ物は全部売り切れ、仕方なくスニッカーズを齧りながら(←やってみて激しく後悔)生ビールを飲む事にします。今日は食に事に関しては運がありません。

C6213133dsc.jpg
この飛行機で羽田へ、
すでに台風→低気圧となった雲は無く、上空から見えた熊本の夜景は息をのむほどに美しく、今回の旅行は函館の銭湯、貝塚線の古い電車、三井化学専用線、阿蘇下田温泉のビール、熊本空港での食いはぐれ、そして台風、思い通りにならなかった事が多くありましたが、なんだかんだ楽しかったなと余韻に浸れたのでした。

(乗車は2013年6月)

前の記事:熊本市電乗車記2(通町筋駅~健軍町) 
スポンサーサイト



プロフィール

QJ7000

Author:QJ7000
おじさん鉄道ファンの日本の鉄道の乗車記録です。2012年、ふと日本の鉄道全線に乗ってみたいと思うようになり、乗りつぶしをスタート。その時の未乗区間は7,818.4kmでしたが、12年目にしてあと1,002.5kmになりました。すべて乗りつぶすには、今の生活パターンだと、まだ7,8年ぐらいはかかりそうですが、路線や車両に愛情を込めながら、少しずつ記録に残しておこうと思います。古い記事をご覧になりたい方は下のカテゴリーの「年別目次」からどうぞ。

検索フォーム
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
(古い記事順に表示されます)
最新コメント
FC2カウンター
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

タグ

JR西日本 京阪電車 ケーブルカー 近鉄 地下鉄路線 大阪メトロ 新交通システム パノラマグリーン車 貨物線・短絡線・渡り線 長崎電気軌道 新幹線 路面電車 JR九州 東急電鉄 相模鉄道 弘南鉄道 観光列車 JR東日本 JR東海 旧国鉄の第三セクター路線 明知鉄道 名鉄 長良川鉄道 樽見鉄道 専用鉄道訪問 名古屋市営地下鉄 モノレール くろがね線 平成筑豊鉄道 西日本鉄道 バスの旅 代行バス 真岡鐵道 関東鉄道 阪急電鉄 南海電鉄 福井鉄道 えちぜん鉄道 富山地方鉄道 箱根登山鉄道 小田急電鉄 国鉄時代 温泉 広島電鉄 錦川鉄道 いすみ鉄道 小湊鐵道 函館市電 非冷房車 JR北海道 京浜急行 金沢シーサイドライン 長野電鉄 信楽高原鉄道 喫煙車 東武鉄道 旧建設線の第三セクター路線 井原鉄道 秩父鉄道 蒸気機関車 西武鉄道 養老鉄道 札幌市営地下鉄 静岡鉄道 天竜浜名湖鉄道 愛知環状鉄道 北陸鉄道 駅そば 船旅 鹿児島市電 東海交通事業 上田電鉄 アルピコ交通 島原鉄道 三井化学専用線 松浦鉄道 筑豊電気鉄道 野岩鉄道 会津鉄道 JR四国 阿佐海岸鉄道 土佐くろしお鉄道 伊予鉄道 琴電 吊り掛け電車 猫登場 阿武隈急行 福島交通 山形鉄道 京成電鉄 新京成 流鉄 夜行列車 伊勢鉄道 江ノ電 ブルートレイン 北越急行 伊豆箱根鉄道 岳南電車 芝山鉄道 上信電鉄 近江鉄道 阪神電鉄 神戸電鉄 北条鉄道 山陽電鉄 水島臨海鉄道 北近畿タンゴ鉄道 のと鉄道 くま川鉄道 南阿蘇鉄道 熊本電鉄 京王電鉄 台湾の鉄道 鹿島臨海鉄道 ひたちなか海浜鉄道 遠州鉄道 

QRコード
QR